Glass slipper☩シンデレラボーイは甘く永遠に腹黒に☩
『オマエが恋人にならないのはともかく、姉ちゃんが誰かの物になって許せるのか?』
『恋なんてもんは風邪と同じでいくら予防してみたトコロで、突然掛かるもんだぞ。』
ウルサイウルサイウルサイ
そんな事分かってるよ
『オマエがしたくても出来ない事を、他の男と姉ちゃんはするんだろうな。』
ヤメテよ。
そんな事僕がさせない
『幾らオマエが目を光らせたトコロで監禁してるワケじゃなし…周りの男がほっとかないだろ。なんだかんだオマエの姉ちゃん可愛いしな。』
「は?君そんな目で美久を見てたの?」
「……。何でオマエはそんなトコロだけ覚醒してんだ。」
冷やかに凄めば、須藤が呆れ顔でぼやいた。
心許無い脳みそで状況を確認すれば、須藤の肩を借りて路上にいた。
タクシー乗り場。
店を出た記憶もない。
どうやら呑み過ぎたみたいだ。
「で?美久がカワイイって君どーいう―――」
「一般論だ。一般論。生憎俺の好みじゃないから安心しろ。」
「うん。美久は可愛いよね。…今すぐ会いたい……。」
みくみくみくみくみくみくみく
須藤が「ウルサイ。」と唸る。
滑りこんできたタクシーに手を上げながら須藤が舌を打つ。
「オマエの姫も大概惚けてるな。どこにいるか分からん王子を探さずともこんなに近くに適任の王子がいるものを…」
その独り事のようなぼやきに、思わず笑みが漏れた。
「それはちょっと違うな。美久はお姫様なんかじゃないよ。」
――――僕にガラスの靴を履かせた王子様