【短編】友達彼氏
キーンコーンカーンコーン
屋上で5限開始のチャイムをぼんやりと聞き流す。
牧瀬と一緒にお弁当を食べながらなんでもないような話をしていたら、授業をさぼってしまった。
まあ、たまにはいいか。
なんとなく今は、ここを動きたくない。
まだ2月だし、寒いけど。
・・・・・・・・
それにしても、「終わる」という言葉を口にするなんて、牧瀬は私のことが好きじゃなくなったんだろうか。
「ねえ、成美ちゃんの好きな人って、結局だれなの?」
「牧瀬に教える義務はない」
「でも・・じゃあ、オレの知ってる人かどうかだけ、教えてよ」
「・・・・知らないんじゃないかな」
嘘ついた。
本当は、超知り合い。
ていうか牧瀬の親友の加藤。
・・・って、なんで私はいつまでも、牧瀬に言うことができないんだろう。