【短編】友達彼氏
牧瀬を傷付けたくないから。
とも、少し違うような。
牧瀬と付き合い始める前の私だったら、こんなこと簡単に言っていたかもしれない。
そもそも、牧瀬が傷付いたって私には関係ないとか思ってたと思う。
牧瀬の彼女になって、私は少しずつ変わり始めているのかもしれない。
「・・・・っくしゅ」
あ、うっかりくしゃみが出てしまった。
「・・・だいじょうぶ?」
「うん、大丈夫」
鼻を啜りながら隣を見ると、思ってたよりすぐ近くに牧瀬の顔があった。
目が合って、一瞬の間が空く。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・ひ、」
「ひ?」
「避難しよっか、やっぱ、ほら、寒いでしょ、」
牧瀬、顔真っ赤。