【短編】友達彼氏
黒いネックウォーマーに顔を埋めてそれを隠そうとしているのだろうけど、隠しきれていない。
今さら、何をそんなに照れることがある。
牧瀬はもう、私のことを好きじゃなくなったわけじゃなかったのか。
不思議な子だ、牧瀬は。
観察するようにまじまじと顔を覗き込むと、彼はまた、更に顔を赤くして、逃げるようにそっぽを向いた。
・・・・変なの。
すたすたと足早に屋上を出る牧瀬になんとか追い付いて、私も一緒に扉を抜ける。
ばたん、と扉が閉まったのと同時に私の手は、彼のブレザーの裾にとまった。