もう、明日がないなら…
二週間前。あの屋敷で、雄哉に撃たれた雅臣を間近で見たあの瞬間に、全ての記憶を取り戻した彼女は、美妃から美沙へと戻って行った。
しかし、記憶を失っていたとはいえ、この一年の事を思うと、大手を振って雅臣の元へと飛び込む事に躊躇していた。
警察に連絡した後、着ていたシャツを脱ぎ、佳美が彼の傷口に応急処置を施していた。その時、佳美が顔を曇らせて立っている美沙に「突っ立ってないで、包帯でも持ってきて」と言い放ったのだ。
「あ…、ごめんなさい」
美沙は救急箱を取りに走った。そして、激痛に耐えている雅臣の肩に巻き付け始めた。
「雅臣さん、肩…」
心配そうに介抱する美沙に「大丈夫。掠っただけだよ」と、眉間に皺を寄せながらも、雅臣は美妃に白い歯を見せて笑った。
「私…」
目を伏せ、そんな彼のことを直視できないでいると、雅臣はそんな彼女に歩み寄り、優しく包み込むようにして左手を回して彼女を抱きしめた。
しかし、記憶を失っていたとはいえ、この一年の事を思うと、大手を振って雅臣の元へと飛び込む事に躊躇していた。
警察に連絡した後、着ていたシャツを脱ぎ、佳美が彼の傷口に応急処置を施していた。その時、佳美が顔を曇らせて立っている美沙に「突っ立ってないで、包帯でも持ってきて」と言い放ったのだ。
「あ…、ごめんなさい」
美沙は救急箱を取りに走った。そして、激痛に耐えている雅臣の肩に巻き付け始めた。
「雅臣さん、肩…」
心配そうに介抱する美沙に「大丈夫。掠っただけだよ」と、眉間に皺を寄せながらも、雅臣は美妃に白い歯を見せて笑った。
「私…」
目を伏せ、そんな彼のことを直視できないでいると、雅臣はそんな彼女に歩み寄り、優しく包み込むようにして左手を回して彼女を抱きしめた。