もう、明日がないなら…
「あの時は、本当に出血多量で手遅れになっちゃったのかと思ったわ。佳美さんもいつの間にかいなくなっちゃうし…」

 眉を八の字にして、怪訝そうな目を佳美に向けながら美沙が言った。

「だって、私、一発撃っちゃったじゃない? 銃刀法違反で捕まりたくないしね」

 佳美は相変わらず妖しい笑みを浮かべてそう答えていた。

「それに、私たちを裏切った割りには、雅臣さんの応急処置して、意味が解らなくて…」

「だから言ったじゃない! あたしは傭兵のようなものなのよ。報酬さえもらえれば、スパイもするわ。あなたが雄哉に捕まるのは状況から考えて解ってたのよ、この人は 」

 佳美は人差し指を立てて、まるでそれを銃に見たて雅臣の傷口を射抜くふりをした。

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