もう、明日がないなら…
 雄哉の美沙への愛は、やっぱり偽物だったのか…?

 美沙の頭の中でチラリと疑問が浮かんでいた。しかし、そんな考えは無駄であるとすぐに違う自分が打ち消して行く。考えても仕方ないこと。歪んだ感情の中で生きていた彼が本当にどう思っていたかなんて、本人にしか解らないのだから…

「雄哉は、歪んだ感情の中でも君に非情にはなれなかった。本当に愛してたと思う。僕と同じように」

 美沙は汚れている墓石をこれでもかというくらいゴシゴシとこすっていたが、彼の言葉が切なく心に響いていた。

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