もう、明日がないなら…
「美妃」

 そんな彼女の名を後ろから呼んだのは、不快な顔を浮かべた雄哉だった。

「僕のはあるのかい?」

「あ、もちろん! 今、持って行こうと思っていたところ」

 キッチンを指差し、美妃は慌てた様子で取りに向かった。雄哉のミルクティーと自分用にいれたレモンティーだ。

「僕の部屋で一緒に飲もう」

 二階の寝室を指で差し、彼が促すと、美妃は小さく頷いた。雄哉はくるりと向きを変えてから歩き出すと、美妃もそれに続こうとした。その時、雅臣の様子を伺う。彼はカップに口をつけたまま右手を振っていた。それを見た美妃は、小さく会釈すると、パタパタとスリッパを鳴らしながらリビングをあとにした。

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