もう、明日がないなら…
「旅行?」
「いや、仕事でフランスに行かなくちゃいけなくなったんだ。ほら」
雄哉は白い長細い封筒を懐のポケットから取り出し、美妃に差し出した。
「君のチケットだよ。新婚旅行の下見がてらさ!」
昨日とは打って変わって、明るく振る舞う雄哉に、美妃は一瞬戸惑ったが、気を取り直して、封筒の中を確認する。
「僕はどうしても仕事で先に行かなければならないんだ。本当は一緒に行きたいんだけど…。今からゆっくり支度して、夕方の便でおいで。君が向こうに着く頃、空港まで迎えに行くから」
彼のその笑顔は、彼女に選択肢を与えなかった。それが余計に彼女の心に不安の波が打ち寄せて来る。
この旅は、果たして楽しいものになるのだろうか?
この人は、そんなに私を信用できないのだろうか?
そんな疑問が美妃の脳裏に浮かんでは沈む。
「美妃?」
彼の呼びかけに、美妃は我に返った。
「わかった。また後で。気をつけてね」
笑顔で手を振り、そう答えた彼女は、雄哉の部屋を後にした。しかしすぐに彼の部屋の前で立ち止まり、気付けば手を胸に当てていた。心臓の鼓動がこれまでにないくらいの早さで打ち付けていたのだ。
「いや、仕事でフランスに行かなくちゃいけなくなったんだ。ほら」
雄哉は白い長細い封筒を懐のポケットから取り出し、美妃に差し出した。
「君のチケットだよ。新婚旅行の下見がてらさ!」
昨日とは打って変わって、明るく振る舞う雄哉に、美妃は一瞬戸惑ったが、気を取り直して、封筒の中を確認する。
「僕はどうしても仕事で先に行かなければならないんだ。本当は一緒に行きたいんだけど…。今からゆっくり支度して、夕方の便でおいで。君が向こうに着く頃、空港まで迎えに行くから」
彼のその笑顔は、彼女に選択肢を与えなかった。それが余計に彼女の心に不安の波が打ち寄せて来る。
この旅は、果たして楽しいものになるのだろうか?
この人は、そんなに私を信用できないのだろうか?
そんな疑問が美妃の脳裏に浮かんでは沈む。
「美妃?」
彼の呼びかけに、美妃は我に返った。
「わかった。また後で。気をつけてね」
笑顔で手を振り、そう答えた彼女は、雄哉の部屋を後にした。しかしすぐに彼の部屋の前で立ち止まり、気付けば手を胸に当てていた。心臓の鼓動がこれまでにないくらいの早さで打ち付けていたのだ。