もう、明日がないなら…
「頼んで置いた調査はどうだ? ここに来たってことは、何か掴んだんだろう?」

「まあね。頼まれてた会社の実態だけど、真っ赤なウソね。住所は適当。そんな場所はなかったわ」

「それだけ?」

「まさか」

 女は首を横に振り、小さく笑った。

「この家、抵当に入ってるわよ」

 彼女のその一言に、雅臣は苦笑いを浮かべていた。すると、急に女の表情が険しくなり、彼を制止する。そして素早く立ち上がり、ドアの脇に移動して、外の動きを伺った。そして、静かにドアノブを握ると、一気にドアの開けたのだ。急に開いたドアに反応しきれず、突っ立っていた美妃は、微動だにできなかった様子だ。

「あら」

 舐め回すようにして美妃の上から下までを見つめる女に、美妃の瞳は怯えた色を写しながら揺れていた。

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