もう、明日がないなら…
「あなたは、いえ、あなた達は、記憶をなくす前の私を知っていますね?」
美妃の投げかけられた質問に、雅臣は表情を変えることはなかった。首は縦にも横にも動かない。美妃は探るように彼の無表情な顔をじっと見つめた。
「私はこの一年、なんのヒントも得られずに、ただ漠然と生きて来ました。自分が誰で、何をしていたのか。なぜ記憶をなくしてしまったのか、自問自答を繰り返して来ました。でも、あなたに会ってから、断片的な記憶が蘇ってきた。何か他にヒントがあれば、もっとスッキリすると思のに…」
美妃は、吐き出すようにそう言うと、両手で頭を抱えた。
そんな彼女の手に、あるものがないことに気づいた雅臣は、「…あれ」とつぶやいた。
「あのでっかい石のついたエンゲージリングはどうしたのですか」
質問を質問で返された美妃は、ムッとした。頭を抱えていた手を下ろし、「質問をしているのは、私です」と彼を睨む。雅臣は、苦笑いを浮かべながら彼女に謝った。
美妃の投げかけられた質問に、雅臣は表情を変えることはなかった。首は縦にも横にも動かない。美妃は探るように彼の無表情な顔をじっと見つめた。
「私はこの一年、なんのヒントも得られずに、ただ漠然と生きて来ました。自分が誰で、何をしていたのか。なぜ記憶をなくしてしまったのか、自問自答を繰り返して来ました。でも、あなたに会ってから、断片的な記憶が蘇ってきた。何か他にヒントがあれば、もっとスッキリすると思のに…」
美妃は、吐き出すようにそう言うと、両手で頭を抱えた。
そんな彼女の手に、あるものがないことに気づいた雅臣は、「…あれ」とつぶやいた。
「あのでっかい石のついたエンゲージリングはどうしたのですか」
質問を質問で返された美妃は、ムッとした。頭を抱えていた手を下ろし、「質問をしているのは、私です」と彼を睨む。雅臣は、苦笑いを浮かべながら彼女に謝った。