もう、明日がないなら…
 一筋の光さえもない暗闇の中、私は一人、彷徨っていた。

 走っても走っても、あの背中にはたどり着けない。

 また、あの夢だ。心が不安定になると、決まってこの夢をみる。

 待って!

 ねぇ、私を置いていかないで!!

 私がいくら叫んでも、浮かんでは消えてゆくあの広い背中には、絶対にたどり着けない。

 なぜ?

 あなたは、誰?

 私は、誰?

 足がもつれ、もう走れない…

 私を、一人にしないで…

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