もう、明日がないなら…
「愛に飢えていたんですね、あなたも…」

 美妃が思わずそう漏らすと、雅臣は苦笑いを浮かべていた。

「愛の形は人それぞれだと思いますが」

「それは、そうでしょうけど…」

 美妃はそう答えながら、この一年のことを振り返っていた。愛に飢えていた彼が、空っぽの自分に尽くし、優しく包み込み、守ってくれた事実があるのだ。それが全て、演技…?

 そんな彼女を見透かすように、雅臣は首を後ろに少しだけ傾けながら見つめていた。彼の視線に気付き、美妃は視線を落とす。顔がにわかに赤く染まっていた。

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