もう、明日がないなら…
雅臣は美妃を連れてコンクリートの基礎に沿って、その外側を歩き始めた。彼は所々に残る黒い燃えかすを見ながら、喋っていた。
「瓦礫は警察で撤去したみたいですね。火元はやはり、一階の幸太郎氏の書斎だったそうです」
「そこで、おじい様は犯人と対峙した、と…」
「えぇ。ガソリンがまかれた跡があったそうですよ」
そう答えた雅臣は、急に足を止めた。そして、焼け跡の中に入って行った。
「こっちに来て下さい。暗いので、足元に気をつけて」
左手を美妃に差し出し、雅臣は彼女を中に促した。しかし、彼女は彼の手を借りずに、辺りを警戒しながら中に入っていった。すっと手を戻した彼は苦笑いを浮かべながら半畳ほどの穴の中に足を踏み入れたのだ。
美妃はびっくりして彼の入っていた穴をのぞくと、コンクリートを打ちっぱなしにした階段が地下へと続いていたのだ。
「これは、幸太郎氏が作った地下室です。防音、防火対策が施されていたためか、この部屋だけは無事だったようですね」
雅臣は着ているジャケットの胸ポケットから小さなLEDライトを取り出し、スイッチを入れた。すると真っ白な光が真っ直ぐに伸び、辺りがぼんやりと白く明るくなった。
「瓦礫は警察で撤去したみたいですね。火元はやはり、一階の幸太郎氏の書斎だったそうです」
「そこで、おじい様は犯人と対峙した、と…」
「えぇ。ガソリンがまかれた跡があったそうですよ」
そう答えた雅臣は、急に足を止めた。そして、焼け跡の中に入って行った。
「こっちに来て下さい。暗いので、足元に気をつけて」
左手を美妃に差し出し、雅臣は彼女を中に促した。しかし、彼女は彼の手を借りずに、辺りを警戒しながら中に入っていった。すっと手を戻した彼は苦笑いを浮かべながら半畳ほどの穴の中に足を踏み入れたのだ。
美妃はびっくりして彼の入っていた穴をのぞくと、コンクリートを打ちっぱなしにした階段が地下へと続いていたのだ。
「これは、幸太郎氏が作った地下室です。防音、防火対策が施されていたためか、この部屋だけは無事だったようですね」
雅臣は着ているジャケットの胸ポケットから小さなLEDライトを取り出し、スイッチを入れた。すると真っ白な光が真っ直ぐに伸び、辺りがぼんやりと白く明るくなった。