もう、明日がないなら…

「あぁ、それは写真のデータが入ってるんだ。そんなことよりも美妃、ここを開けてごらん」

　彼に促され、美妃はデスクの一番大きな引き出しに手をかけた。そしてゆっくりと引き出しを開けると、中には古びた革表紙の日記帳がいくつも入っていたのだ。

　適当に一つ日記を手にすると、美妃はパラパラと中をめくる。すると中には
達筆な字でぎっしりと書かれていた。

（この人の字ではない…）

　パラパラとめくる手を止めて、適当にある日の日記に目を通す。ところが読み始めた途端、その衝撃的な内容に美妃は眉をひそめていた。

「え…？」

　手の力が抜け、思わず持っていた日記を落としそうになった。目は見開き、
額には汗が滲みむ。彼女の心臓の鼓動は早く、息苦しささえも感じていたのだ。そんな彼女を見て、彼はほくそ笑んでいた。

「…ゆっくりと読むといいよ。僕はとなりのリビングで待ってるから」

　雄哉はそう言い残して、この小部屋を去って行った。