もう、明日がないなら…
 ぐっしょりと汗をかき、心臓の鼓動の早さで彼女は目を覚ました。暗がりの部屋。ベッドボードの上にある時計をみると、夜中の2時を回ったところであった。

 ベッドの足の方を見ると、彼が覆いかぶさるようにして眠っていた。

(ずっと私に付き添ってくれてるの…?)

 窓から差す月の光が、彼のあどけない寝顔を照らしていた。

 彼は、どこの誰で、一体何をしている人なのだろう…? そして、なぜこんなに私に尽くしてくれるのだろう…?

 美妃の頭には、次から次へと疑問が湧き出していた。

 さっきまで怖い夢を見ていたにも関わらず、彼のあどけないその寝顔を目にした時、彼女は一気に安らいでいく。なぜなのかは、彼女にもわからなかった。それでも、夜明けまでは安心して眠れそうな、そんな気がしていた。

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