瑠璃一味のお戯れな学園生活
傘もコンビニ袋も投げ捨て、めのうはバック転して男の顎を蹴り上げていた。

いわゆるサマーソルトキック。

宙で一回転して着地。

「……」

雨の中、男は顎を撫でていた。

めのうの蹴りの鋭さから、顎先が僅かに切れて流血しているものの、意に介した様子はない。

「勇者の小僧も君の兄上もそうだが…瑠璃一味は皆元気がいい…結構結構…」

「あなた誰?シン君や兄様を知ってるの?」

夜闇に震える臆病な娘とはいえ、戦場に立てば一端の武士。

凛々しい眼差しで男を睨むめのう。

その女武者を嘲り笑いながら。

「黒爪(ヘイツァオ)…という名を御存じないかな、お嬢さん」

男は表情を歪めた。

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