瑠璃一味のお戯れな学園生活
今も流れ落ちる鮮血。

それを意に介さず、黒爪は棒立ちのまま。

「勇者の小僧にやられた傷を癒している間、この体について色々と試してみた。存外に便利なものだな、吸血鬼というのは…十字架や聖水を嫌うというのも、生前の信仰心が疼くという理由らしいから俺には無縁だし、首を切り落とす、心臓に杭を打つ、死体を燃やすなんてのも、隙を見せない俺には通用しない…銀の弾丸もしくは呪文を刻んだ弾丸で撃つというのもあるらしいが、そんな弾薬もそうそう出回っていないだろうしね…つまり太陽の光さえ気を付けておけば、この肉体は不死身だという事だ」

「…よく喋る吸血鬼ね…そんなお喋りだなんて、兄様は言ってなかったけど?」

夜桜を構え、めのうはじりじりと動く。

「ああ、失礼…つい多弁になってしまった…」

腹から滴り落ちる血を指先で掬い取り、黒爪はベロリと舐め上げる。

「夕城の女剣客の血を啜れると、些か興奮気味なのかもしれない…」

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