瑠璃一味のお戯れな学園生活
「無銘」

めのうの問いかけに、龍之介は答えた。

「夕城流剣術の奥方から譲り受けた剣術にして体術だ。あれを教わった瞬間に、俺の手刀は『刀』になった訳だ。んじゃあ、やっぱ四季・色彩銘刀に倣って名前を付けるのがいいかと思ったんだが…」

細かな傷を無数に刻み込んだ自らの右手を見て、龍之介は笑う。

「お前の夜桜や、瑠璃や孔雀の愛刀に比べたら、俺の手刀はナマクラだからな」

名付けて『四季・色彩銘刀"駄作"無銘』。

そう言って、龍之介は笑った。

「……」

めのうもつられて笑う。

嬉しかった。

このSSBが、母から伝授された手刀にどんな名前を付けるのか気になっていた。

その名が、めのうと同じ夕城流を意識した名。

彼も夕城道場の門下生としての矜持を持っている。

それが嬉しかった。

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