瑠璃一味のお戯れな学園生活
遠慮なくシンのベッドの隣にダイブする野菊。

ばふっ、と音を立ててうつ伏せになり。

「えへへへっ」

野菊は無邪気に笑う。

「よく頑張ったねぇシン君、タイマントーナメント優勝だよぉ、これで勇者だねぇ」

「……同時優勝なんて、優勝だなんて思ってねぇよ」

シンは野菊に背を向ける。

「それに…強ければ勇者になれるって訳じゃない…剣術だけでも、精霊術だけでも、勇者とは言えない…そんな事言ってたら、ただ強いだけの悪党…黒爪みたいな奴だって勇者だっていう事になる…」

まだまだ自分には足りないものが沢山ある。

シンはひしひしと痛感するが。

「ふぅん…」

シンの背中にピトリとくっついて、野菊は呑気な声を上げた。

「その事をきちんと理解してるシン君は、誰よりも勇者だと思うけどなぁ」

「……!」

野菊の言葉にハッとするシン。

「まぁ難しい事は置いといて」

野菊は後ろからシンに両手を回した。

「今はゆっくり休みなよぉ♪」

< 2,346 / 2,622 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop