瑠璃一味のお戯れな学園生活
あまりにもションボリしてしまった久遠を、少しばかり気の毒に思ったのか。

「ま、まぁ」

琴子は声を裏返らせて言う。

「知らなかったんだから仕方ない事ですの。別に貴方も悪意があって狂奏丸を自分のものにしたいと考えた訳ではないでしょうし。その辺、あの馬鹿宗主達も理解していると思いますの」

「事務員さん…」

「事務員さんという呼び方はやめて欲しいですの。何だかオバサン臭い印象を受けますの」

「じ、じゃあ、何て呼びましょうか…?」

「……す、好きに呼べばいいんじゃないですの?」

事務員とは呼ぶなと言ったものの、他の呼び名など考えてもいなかった。

そっぽを向く琴子に。

「わかりました、有り難うございます、琴子さん」

久遠は柔らかく微笑む。

振り向かない琴子の耳は、随分と赤くなっていた。

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