瑠璃一味のお戯れな学園生活
「な、何を言ってるんですの!」

琴子は声を荒げる。

確かに琴月の本質を見せる事で、久遠に習得を思い留まらせようと考えた事は認める。

が、その為に琴子が無理をした覚えはない。

琴月流の琴子にとって、それは当然であり日常。

琴子は歌うように容易く、敵対者の命を摘む事が…。

そう考えていた琴子の金の瞳から。

「っ!」

一筋の涙が、零れ落ちる。

「なっ…私っ…何で泣いて…!」

おかしいですの。

こんなタイミングで涙が零れるなんて、不自然ですの。

これじゃあまるで、私の真意を分かってくれる人が現れて、気が緩んだみたいじゃないですの!

「琴子さん」

腕を摑んだ久遠の手が、優しく握られる。

「本当は辛かったんですね…いいんですよ、無理をしなくても」

「こ、このっ…何を…!」

狼狽する琴子。

その細首を。

「!?」

撥ねた筈の黒爪の左手が鷲摑みにしてきた!

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