瑠璃一味のお戯れな学園生活
ウゾウゾと、這いずる無数の蟲のように蠢く刺青。

タトゥーは男の左半分どころか、顔全面を覆っていく。

それ即ち、原典の魔力が肉体全てを侵蝕している証拠。

こんな側にいるだけで発狂してしまいそうな魔力の持ち主、今の瑠璃達では相手できる筈がない。

「どうするの、兄様…」

今にも泣き出しそうな表情で、めのうが兄の指示を仰ぐ。

瑠璃一味では瑠璃が頭目という事になる。

他の仲間達も、瑠璃に視線を送る。

何とかしなければ。

瑠璃一味の頭目として、次期夕城流宗主として、こんな危難程度で狼狽する訳にはいかぬ。

「お前達は逃げろ…ここは俺が引き受ける」

決死の覚悟で愛刀・柊を構えた瑠璃は。

「いんや、俺が引き受ける」

ポンと肩に手を置かれ、思わず振り向いた。

「くっせぇな…魔力か?」

そこにはTシャツの中に手を突っ込んで腹をボリボリ掻いている、警備員…丹下 龍太郎の姿があった。

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