瑠璃一味のお戯れな学園生活
しかし。

「!」

未練も躊躇もなく。

黒爪はトンと地面を蹴って大きく後方に跳ぶ。

必要以上に距離をとっての柊回避。

技の隙を突いて反撃するとか、そんな考えは微塵も持っていない。

明らかにその場を離脱する為の行動だった。

「逃げるのか」

「ああ逃げる」

瑠璃の挑発に似た言葉にも、黒爪は笑みさえ浮かべる。

重ね重ね言うが、彼は武道家でも剣客でもない。

職業兇手、殺し屋だ。

敵に背を向ける事は不名誉ではないし、利益にならぬと踏めば迷わず逃げる。

金にならない闘争はしない男だった。

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