通学恋愛
あたし達の横に、誰かが止まる。


キチンと持ってきた黒の傘をさして、難しい漢字や言葉の並ぶ本を読みながら、あたし達を見下ろす…


「シュンくん…」


思わず、つき合っていた頃の呼び方で呼んでしまう。


シャツを腕まくりしながら、駿太が振り返った。


「…シュン」


あたしも駿太も、笑顔ではなかった。


唯一笑顔のシュンくんは、冷静につぶやいた。


「朝から大変だな、駿太」


明らかにバカにされた!


だけど駿太は、そんなシュンくんに軽く笑いかけた。
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