悪魔なのは…
「それはもちろんだ。だがね、これだけは言える。…捕まえられなかった犯罪者
を処罰することが出来る唯一の方法だ」
「…捕まえられなかった犯罪者を?それは、どういう…」
「詳細は、契約を結ばなければ話すことが出来ない。ただ、これだけは言える、私はこの部署へ入れてることを誇りに思う」
「…ッ…!…そう、ですか…」
誇りだ、そう言う彼の瞳は輝いており、とても充実していることが手に取るように分かった。
…羨ましい、と思った、思ってしまった。
達輝は、今の仕事が生き甲斐だとは思えていない。
希望した部署と違ったこともあるが、恐らくそんなに警察という組織に対して、誇らしく思う気持ちがないからだ。
だから、自分の仕事に誇りが持てている一宮が羨ましい。
達輝の心の底には、犯罪者に対する憎しみが渦巻いている。
父親を殺した犯人が無罪放免となってしまったからだ。
だから、犯罪者を処罰することが出来るということに心を揺さぶられる。
たとえ、それが法に準ずるやり方ではないとしても。
「…一宮警視は、ズルいですね」
「ん?」
「俺が、それを聞いて断るとは思っていないでしょう?」
「ははは!それは、そうさ。だから、こうして君を誘っているんだ」
「やっぱり、ズルいな」
思わず苦笑した達輝に、一宮は再び声を出して笑った。
「なら、契約成立だね?」
「…はい。よろしくお願いします」