悪魔なのは…

二話

15分ほど電車に揺られた頃、二人は目的の駅についた。

一宮の先導の元、メイン通りから少し外れた方向へと向かった。寂れたビルが立ち並んでおり、人通りも少ないせいか、何処か寒々とした雰囲気を醸し出している。

そんな中、一つのビルの前で、一宮が止まった。必然的に達輝も立ち止まった。


“DCP”


そう看板に書かれていた。

木製の看板は、とても古く、年季を感じさせるものだった。扉は鉄製でとても頑丈そうな造りをしている。


「ここだよ」


そう言うと、一宮は扉の前に向かった。
そして、扉の横にある液晶部分に、掌を当てた。
すると、真っ白い線が指先の辺りから全体に広がり、液晶がピカッと光った。そして、キギッという重たい音を立てて、扉がゆっくりと開いた。

全体的に古そうな印象の割りには、近代的な造りになっているようだ。


「指紋認証を使ってるなんて、ずいぶんとしっかりしたシステムになってますね」

「だろう?君も契約を結べば、ここに自由に出入りが出来るようになるさ」

「なるほど。契約の際に指紋を取るわけですね?」

「その通りだ。さぁ、中に入ろう」

「はい」


心臓がドクドクと早く脈打った。
緊張のせいか、期待のせいか、何故なのかは分からないが。

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