悪魔なのは…
中に入って、その光景を見た達輝は思わず立ち止まってしまった。
口をあんぐりとさせて驚いている彼を、一宮が何処か楽しそうに見ていた。


「あはは。驚いたかね?」


そう声を掛けられ、達輝はようやく我に返った。


「ってか、え?俺たち…あの寂れたビルに入りましたよね?」

「そうさ、あのオンボロなビルに入った」

「嘘だろ…」


思わずボソリと呟いた。


そして、周りをぎこちなく見渡した。
中には、まるでホテルの玄関ホールのような立派なシャンデリアがあり、床は大理石が敷き詰められていた。

外見からは全く予想出来ない内装に、驚くより他なかった。


「私も、初めてここを訪れた時は驚いたものさ。なかなかに豪華な造りだろう?」

「えぇ、本当に。こんなに立派だとは思いませんでした」


中を進むと、左手側に階段があった。
そこは螺旋状になっており、赤い絨毯が敷かれていた。
手すりにも細かい模様が描かれていて、凝った造りとなっていた。


階段を上がり終わると、開けた場所に出た。

真ん中にソファがあり、その前にはテレビが置いてある。壁の端には、暖炉のようなものがあった。
…まだ、上の階があるので、暖炉としての役割は果たせないかと思う。恐らく、インテリアのようなものであろう。

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