悪魔なのは…
その少女は、凄い速さでキーボードを叩いていた。
そして、画面を手で触り、上へスライドさせると、その画面が宙に浮いた。どういう仕組みかはさっぱり分からないが、凄い技術である。

上へスライドさせる際に、チャリンと、何か音がした。

何だろう、と思ってジッと見てみると、右手のところに、チェーンが見えた。
ただ、普通のブレスレットではなく、床に付きそうなくらいの長さで、先に赤茶色の石が付いていた。何角形の石かは定かではないが、先の尖っているタイプのものであった。

その少女は、白衣を着ていたが、中の服はヒラヒラのドレスで、いわゆるゴスロリファッションと呼ばれているものであった。

仕事着としては、適切でないだろう、それを当然のように着ていることに、達輝は内心で呆れた。


一体全体、どういう組織なのやら…。


ここへ安易に来てしまったことに、達輝は少し後悔をした。

チラリと横に目を向ければ、一宮は自身で持ってきたのであろう、文庫本を片手に読書の世界へと旅立っていた。
前に視線を向ければ、金髪の青年がカチャカチャとゲームに勤しんでいた。
斜め後ろを振り返れば、ツインテールの少女がパソコンで作業をしていた。


…これは、しばらく大人しく待つよりほかなさそうである。


そう思った達輝は、ソッと溜め息を吐いた。
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