悪魔なのは…
三雲 達輝は、警察に所属している。本当は、刑事志望だったが、叶わずに、生活課へと配属された。
残念な気持ちがないと言えば嘘になるが、気持ちを切り替えて、日々業務に専念していた。
警視庁に到着し、いつも通り生活課へと向かおうとすると、前に見知った人物たちがいた。
向こうは、まだ気付いてないようだ。
「一宮警視、確かにお預かり致しました」
「あぁ、ところで、近藤くんの仕事の方はどうかね?」
「希望した職種に就けましたから、非常にやりがいがありますわ」
「それなら結構だ」
「はい」
段ボールを手にした女性が、頭を下げた。
そこで、ようやくこちらに気付いたようだった。
「あら…お久し振りね、三雲くん」
「そうだな」
緩くパーマがかかっている髪は、天然のもののようで、教官に対しても地毛だと、反論してたのは記憶に新しい。
二重の瞳はぱっちりとしていて、中々の美人なのだが、本人の性格に多少の難があるのか定かではないが、あまり友人はいないようであった。
達輝本人も、彼女とは警察学校の同期ということ以外での接点は全くなかった。
なので、すぐ視点を横に立っていた男性に向けた。
「一宮警視も、お久し振りです」
「達輝くんか…久し振りだな。三雲捜査官の十周忌以来だったかな?」
「…えぇ、その節はありがとうこざいました」
「君が警察官になったことは風の噂で知っていたが…今、君は?」
「俺は今、生活課に所属しています」
「そうか…君はーー」
ゴホンッ。
唐突に咳払いが聞こえ、そちらに視線を向けると、何処か冷めた視線でこちらを見る近藤の姿があった。