あぁ、愛しの執事様
あからさまに残念そうな顔をした龍太は、どこからか持ってきた椅子を私たちの隣に置き腰掛けた。

「ちょっと、なんで横に来るのよ!」

ドンと机に手をつき佐衣が龍太を睨む。

そんな様子にめげることなく龍太はパンをほうばる。

「いいじゃん、いいじゃん…で、葉香の気になるヤツって誰?」

佐衣をなだめるように肩を叩きながら龍太は私を見つめた。

「いや、別に気になってないよ…」

そうだ、別に気になってない。

ただ、佐衣が『王子』の話なんかするから思い出しただけ。
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