Fragile
白いハンカチ
次の日の朝、駅のホームで昨日の彼の姿を目で探す私
彼の姿は見当たらない
何故かがっかりしてしまった
あと2分で電車が来る
きっと彼とは縁が無かったのだろう
そうあきらめかけていたそのとき、私の方目がけて、歩いてくる人影が見えた
思わず振り返った私の目はその人物に釘付けになった
…間違いない
切れ長の瞳、鼻筋の通った高い鼻、サラサラの茶色い髪
昨日の彼だ!!
しかも私の方に歩いてくる…どうして!?
私はパニック状態になる
彼は私の目を見て微笑した
私の目の前まで来ると
「はい、これ。」
と言って真っ白なハンカチを私に手渡した
「昨日、君が走ったときこれ落としてったから…」
彼は照れたように笑いながらそう言った
ハンカチを落としたことは気付いていなかったけれど、その白いハンカチは紛れもなく私の物だった
「あ…ありがとう…ございます。」
恥ずかしくて彼の目を見れない私は俯きながら小さくつぶやいた
彼は優しく笑って
「それじゃあ…。」
と言って、タイミング良くやってきた電車に乗り込んだ
彼が乗った車両から離れて私も電車に乗り込んだ
胸がドキドキして、顔が火照っていた
私は確信した
これは恋だ…