Fragile

ある日の朝、俺は駅のホームで電車を待っていた

まだ眠気がとれず、大きくあくびをした

ドンッ!!

俺の背中に思いっきりぶつかってきた奴がいた

それと同時に

「あっ…ごめんなさい。」

というか細い声がした

驚いて振り向くとそこには、小柄で色白な女の子が顔を赤く染めて俺を見つめていた

白いセーラー服に、一度も染めたことのなさそうなサラサラの黒髪

今時珍しい雰囲気の子だな…

その女の子があんまり俺のことを熱心に見つめていたので、恥ずかしくなって

「あの…何か?」

と話しかけた

女の子は本当に泣き出しそうな顔をして、蚊の鳴くような声で

「いえ…何でもないんです。」

と言って駆けだしてしまった

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