君想歌
約束を交わしてなくても
いつもの場所で自然に会えるし。



それより俺の考えを邪魔する
音を消さないと。


「……馬鹿杉、
騒音たてないでくれない?」


壁に背を預けて三味線を鳴らす
高杉を俺は軽く睨む。


「あぁっ!?
どこが騒音なんだよ!!」


その言葉に驚いた高杉は
手を止めて吉田に噛みつく。


「すべてが」


「……………」


即座に返した俺の言葉に
高杉はがっくりと肩を落とす。


「本当のことを言ったまでだけど」


折角、和泉とのことを
考えていたのに。

馬鹿杉が邪魔するから。


高杉の持っていた三味線を
横取りすると指を動かした。


< 101 / 633 >

この作品をシェア

pagetop