君想歌
栄太郎は和泉の手を掴むと
自分の方へ引っ張った。


「寒かったでしょ。
早く温かいお茶飲もう」


栄太郎の羽織の中に
和泉は入れられる。

手は繋いだままで。


「久しぶりに会えて嬉しい」


そう口にすれば栄太郎は
驚いた顔をする。


「素直だね?」


良いことだけど、と
付け足すとクスリと
笑いを漏らした。


そうしている内に
一軒の甘味屋に到着する。


「餡蜜食べる」

「俺は三色団子」


各々の物を注文すると
先に運ばれてきたお茶を飲む。


「ねぇ。
明日からどうするの?」


大晦日の一週間前。
それがちょうど明日。


「土方が年末年始は休みくれた」


実質的に今日から非番に
和泉はなるというわけだ。


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