君想歌
*吉田栄太郎*

とさり、と和泉の身体が
俺のほうに倒れる。


「和泉!!」


身体熱い……。
熱あるじゃん。


いつまでも甘味屋でのんびり、
とはいかないよね。


どっか休める場所……。


素早く思考を巡らすと、

長州藩邸。
新選組の屯所。

こんなの二人ともが
敵地に突っ込むだけじゃないか。


「あっ!!」

俺と晋作が滞在してる旅籠!!


晋作は奇兵隊で年を明かすって
朝方長州に戻っていったから。


旅籠には俺一人。


俺は和泉を抱き上げると
さほど遠くは無い旅籠に
歩みを進めた。



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