君想歌
すっかり日が暮れたところで
巡察は始まる。


相変わらず町の人からの
視線は冷たい。

しかし栄太郎と話した事で
気に止めるようなことでは
無かった。


「和泉、ご飯全部食べれたのか?」

一番隊の最後尾を歩く
和泉の隣に藤堂が並んだ。


「ぎりぎり。詰め込んだ」


味を味わう余裕が無かったのが
残念、というところか。


辺りに気を配りながら
藤堂と話しをする。

だが和泉は重要なことに
気が付き額を押さえた。


約束……しとけばよかった。

栄太郎、またあそこに居るかな?

あの時は慌て過ぎていて
会う約束をする暇が無かった。

急にしょぼんとした和泉に
藤堂はぎょっとする。


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