君想歌
「ぅ…っ……」

痛みを堪え身を起こし
射抜くような眼差しで
栄太郎を見つめる。


「っ…勝手に離れたら、
承知しないから……」


もう素直になろう。

今、自分は何を望んでいる?


本心は何だ?



栄太郎の存在を見つけ、
どれだけ私は助けられた?


幾度となく手を差し出され、
引き上げらてくれたのは誰?

行く道を明るく照らして
くれたのは誰?

隣に居るだけで安心する
存在は誰?



栄太郎しか、居ないだろ。



焼けつくような痛みが走る傷に意識を向けず、腕を伸ばして
栄太郎の頬を引っ張った。


「笑うだけでも良いから。
栄太郎の存在があるだけで
良いから」


それだけで、構わないから。


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