君想歌
血に濡れた羽織を脱ぐと
真っ直ぐに副長室へと向かう。


「土方副長、瀬戸です。
入ってもよろしいですか?」

「おう」

若干眠たそうな声が返ってきた。

なるべく早めに済ませよう。


部屋に入ると髪を下ろしたまま土方が疲れた表情を浮かべて
文机に肘をついていた。


「ご苦労だった。
ったく総司の野郎。
また和泉に任せっぱなしか。
……すまねぇ」


沖田の兄貴分でもある土方は
申し訳なさそうに言う。

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