君想歌
悪酔いして激しく痛む頭に
舌打ちをする。

ガンっと近くにあった柱を
蹴ればビリっとした痛みが
足首に走る。


「馬鹿総司が!!」


歪んだ視界は酒のせいだけじゃ
無いだろう。


「……和泉」


控え目に掛けられた言葉は
今は聞きたくない声。


「何ですか?」


「ごめんなさい!!
酷いこと言って。
ちっとも和泉の思いを
考えていませんでした」


和泉を探す間に考えた。


女の身で仇討ちで入ったのに
何時からか姉のように自分の
面倒を見てくれる。

斬り合いでは隊士を守りつつ
必ず自分の後ろに立つ。


「ごめんなさいっ」


深く頭を下げる沖田に
溜め息をついた。


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