君想歌
もう長く男装をしているせいで
女事情に疎くなっているのか。


どうしても似合ってるのか、が
判断が出来ない。


不安げな顔をしている和泉の
頭を吉田は撫でている。


「ねぇ。子供扱いしてない?」


「あ、バレた?」


吉田の言葉に頬を膨らませる。

「栄太郎なんて、知らない」


「普通嫌いって言わない?」


そっぽ向いたまま和泉の返答に
吉田は問う。


「嫌いじゃないし。
それに嫌いって言葉が嫌い」


「くくっ……。そっか」


吉田は小さく笑うと
欠伸を漏らした。


「栄太郎も寝不足?」

「ちょっと忙しくてね」


和泉ともう少し話したいけど
眠いや、とまた欠伸をする。


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