君想歌

怪我なんてしたら今度は
新撰組から無理矢理に
引っ張り出されかねない。


「栄太郎が心配性っていうのは
分かってるから。
逆に栄太郎のこと、よろしく。
最近忙しいから余り時間が
取れないから」


「はい。任せて」


フワリと笑った悠に背を向け
和泉は屯所まで走った。


その後ろ姿が見えなくなるまで
見送っていた悠の表情は決して
良いとは言えない。


吉田たちがたてた計画がもう
悠の耳に入っているから。


「和泉を悲しませちゃ……」

その後の言葉は風に吹かれて
消えた。


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