君想歌
「ちょっと、ええか?」


「……」

今日は何かと呼び出される事が
多いと思いながら山崎の後を
追った。

軽い身のこなし方で屋根に
飛び上がった山崎とは反対に
掛けてあった梯子を登る。


邪魔が入らない場所と言えば
屋根より他はない。


和泉が隣に座ると山崎は
切り出した。

「今夜、いつもの場所で待つ」


突然何を言い出すのだろう?


へ?と首を傾げた和泉に
山崎は付け加える。


「吉田からの伝言や。
今晩いつもの場所で会えるなら
あって欲しい」


何故その様な誘いが山崎を
通して伝えられたのか。

「なんで烝くんが?」

「絶対土方はんに言うたら
あかんで」


念を押した山崎は昨夜のことを
話し始めた。


.
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