君想歌
黙りこむ沖田にますます
和泉は心配になる。


何かあったのだろうか……?

当の本人も相手も和泉が
原因だなど露知らず。


「総司、体調でも悪いの?」

訝しげに和泉は眉を寄せて
沖田の顔を覗きこむ。

「いえ。何でもありません」

ぱくぱくと普段どうりに
食事を再開した沖田に
変なの、と呟く。

一つ残ったジャガイモを
口に放り込んだ。


そんな様子を見ていた土方は
額に手を当て溜め息を吐く。

総司、それが恋心だって。

俺が恋愛経験に豊富だからって
言ってんじゃねぇからな。

総司なんて顔は良いんだから
寄ってきた女の一人や二人と
付き合ってもおかしくねぇだろ。

なのに一人もいねぇって何だよ!

男なら島原行くくらいすんだろ。

なのに総司の野郎、
一回も門を跨いだことねぇって。

それは、どうなんだよ。

いっぱしの純粋な気持ちが
あるんだからよ。

上手く行くはずだぜ。

普 通 は な !


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