君想歌
実は、といたずらっ子のように
和泉は笑う。


「局中法度が幹部一同に
発表された時、私だけ反対した」
山南さんは仕方ない、と
いう表情だったけど。

芹沢派を抑制するのを理由に
作った局中法度。

結果は、“死”でしかない。

そんな掟の何が良い?

きつく縛られても、
いつかきっと限界がくる。


解放されようと掟を破れば、
死んで償ってください?


切腹が武士の誇り?


残念だが自分は武士でも
何でも無い。


じゃあ口出しをするな、と
土方に凄まれたが止めなかった。


死んで償うなんて、
周りのものがどれだけ
傷つき、苦しみ……悲しむか。


失った者しか分からない
気持ちを汲み取って欲しかった。


「…と副長様に逆らいまして、
一週間の謹慎をくらいました」


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