君想歌
ずどんっと後ろで山崎が
背中を押さえ悶えている。

「っ痛たた……姉ちゃん!
する事、以外に大胆や……。
副長に逆らうとか法度が
その時もしあったら」

「切腹?」

飄々と言ってのける和泉は、
ニヤリと笑ってみせる。


「だからさ要は。
考え直して欲しかった訳よ。

結局、翌日には発表されたけど」


また顔を見せた月に刀につけた
鈴が鈍く光る。


「姉ちゃん。
自分の首絞めるような事は
今後は控えなあかんで。
悲しむ人を作ったらあかんやろ。
ほな、早うに風呂入って寝ぇ」


軽い身のこなし方で
天井裏へ飛び上がった山崎は
静かに去っていった。


「分かってるってば」

山崎の言葉にくすぐったさを
感じながら嬉しそうに
くすりと笑った。

< 39 / 633 >

この作品をシェア

pagetop