君想歌
はっきりと否定した桂の口調は
普段とは異なり些かキツめ。

いつもならば柔らかい言い方。


「俺が新選組の女の子と
懇意にしていること?」

なに食わぬ顔で斜め後ろを
振り返った俺。


みるみる内に滅多に怒るらない
温厚な性格の桂の表情が
険しくなり、

「分かっているならば!!
敵と相入れるなど許されない!!
ましてや新選組となど!!」


声を張り上げた。


何事か、と。

藩邸に身を寄せる人たちが
出てくるけど桂さんが睨んで
追い払う。


だけど、彼らの中から唯一、
こっちに歩いてきた奴。

派手な着流しを肩に引っかけ
緩く帯を結んだだけの男。


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