君想歌
あぁ。
とても苛々するよ。

今すぐにでも
地面にコイツを
沈めたいくらいに。

「晋作。
人の恋路を邪魔しないで
くれないかな?」

ひしひしと伝わる吉田の怒り。

はっと鼻で高杉は笑う。

「あの時に止めてりゃぁ、
桂さんには言わなかったさ。
稔麿ぉ、あの女は
新選組の敵なんだぜ?」



いつか裏切られて、斬られるぞ。




晋作の言葉を最後まで
聞くこと無く俺は動いていた。

鈍い音と共に高杉は桂さんの
方側へと派手にぶっ飛び、
右手には痛みが走る。


「あの子は!!
そんなことはしない!
確かに幕府の狗かもしれない!
でもあの子は曲がった事が
誰よりも嫌いだ!!
晋作ごときがあの子を
知った風な口を叩くな!!」


怒りを露にして、叫んだ。


呆然と口を半開きにして
座り込み吉田を凝視する高杉。

目を見開いて交互に
二人に視線を巡らせる桂。


「……早く、消えてよ」


悲鳴をあげる心を
気付かれたく無くて。

自ら人を遠ざける。


こういう所。

よく和泉と似てるや。
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