君想歌
あまりに突然の事に
放心状態になっている高杉。

その襟首を掴み無言で桂さんは
俺の前から立ち去った。


それを見送ることもせず
荒々しく障子を閉めると
風呂に入る前に敷いておいた
布団に潜り込んだ。


親に怒られて拗ねた
子どものようだ。

自分に嘲けるように薄く笑う。


今すぐにでも和泉に会いたいや。

会って抱きしめて。

このやり場の無い感情を
ぶつけたい。


幕府にばっかり復讐したい、と。

今まで数多の罪なき人を
斬ってきた。

だけど斬るだけじゃ問題は
解決一つも出来なくて。

この時勢が敵を…愛することを
許さない?


俺ならさ、

「抗ってやるね……」


そんなものには反抗してやる。

良いよね?
松陰先生……。


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