君想歌
ただ時間が経つに連れて、
和泉の不安は募りに募っていく。


面に出さないように努力する
和泉は別の事に気に掛けていた。



「ちょ……お願い。
総司、大人しくして」

器用に布団の上で避ける沖田を
和泉は追う。

言わずとも夏風邪をひいた
沖田のことだ。


早く治してもらわないと
困るのというのに薬を
飲むのを頑なに拒む。


「嫌です。絶対」


沖田の部屋で二人きりの朝餉を
済ませ。


和泉が取り出した薬を見ると
そこからはお決まりで。


同じ会話が一昨日から
繰り返されていた。


食事に混ぜるも駄目。

お茶は勿論。

近藤に頼むも撃沈。


大きく溜め息をつき最終手段に
出るため部屋を出た。


.
< 436 / 633 >

この作品をシェア

pagetop